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RESEARCH

直接リプログラミング技術を用いた肺再生研究

研究内容

当研究グループでは、特発性間質性肺炎(IIP)、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、重症肺炎・急性呼吸窮迫症候群(ARDS)などの指定難病や致死的呼吸器疾患の解明と、新規治療法の開発を目指しています。これらの疾患は日本及び世界においても主要な死因となっており、慢性・急性を問わず2型肺胞上皮(AT2)細胞の障害とその修復異常が病態の中核をなしていることが明らかになっています。しかし、現在の医療では疾患の進行を抑制する治療薬は存在しますが、肺の根本的な再生・修復は依然として困難であり、大きな課題です。

私たちは、こうした難治性肺疾患に対する新たなアプローチとして、幹細胞技術の中でも特に「直接リプログラミング法」に注目しています。この技術は、iPS細胞やES細胞などの幹細胞を経由せず、線維芽細胞などの体細胞から目的とする細胞を直接誘導する革新的な技術です。当グループでは、その目的細胞として、AT2細胞様の肺上皮細胞(iPUL細胞)の作製に取り組んでいます。従来のiPS細胞技術に比べ、工程が簡便・短期間であり、腫瘍形成や拒絶反応のリスクも低減できるという大きな利点があります。私たちはこれまでにマウス線維芽細胞を用いて短期間・高効率でのiPUL細胞を誘導することに成功しており、現在はヒト細胞への応用に向けた検討を進めています。将来的に、直接リプログラミングによってヒト肺上皮細胞の誘導が可能となれば、これまで困難とされてきた難治性肺疾患により損傷した肺を、完全な正常肺へと再生する革新的な治療法の開発が期待されます。

 

さらに、iPUL細胞は創薬開発にも応用可能であり、薬剤スクリーニングや疾患モデルの構築を通じて、実用化に資する基盤整備にも取り組んています。私たちは今後も、ヒト細胞での再現性検証、安全性・有効性評価を重ね、臨床応用に向けた研究開発を一層加速させる計画です。

参考文献

  1. Morita A, Ishii M, Asakura T, et al. Direct reprogramming of mouse fibroblasts into self-renewable        alveolar epithelial-like cells. NPJ Regen Med. 2025 Jun 23;10(1):30.

  2. Kusumoto T, Yotsukura M, Ishii M, et al. Induced lung epithelial-like cells derived by direct reprogramming rescue influenza virus-induced lung injury in mice. Biochem Biophys Res Commun. 2025 Jul 17;778:152384.

チームリーダーから一言

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石井 誠 教授

これまで私は、炎症性肺疾患に対する新規治療法の開発をテーマに研究を進めてきました。呼吸器疾患の中でも、間質性肺疾患、COPD、ARDSといった病態は、いまだ根本的な治療法が乏しく、患者さんやご家族にとって深刻な課題です。私たちは「再生できない肺を、再生可能にする」ことを目指し、基礎研究と臨床現場をつなぐ橋渡し研究に挑戦しています。iPUL細胞の開発はその第一歩であり、将来的には再生医療や創薬の新たな選択肢となることを期待しています。この困難な挑戦に、共に取り組んでくださる仲間を心より歓迎します。

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