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RESEARCH

呼吸器感染症

研究内容

研究テーマ

最適な呼吸器感染症治療ストラテジー構築を目指した多面的研究

研究概要

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックは今なお人類を脅かしています。肺炎球菌などによる肺炎も罹患者数が多く主要死因別死亡は常に上位に位置し、薬剤耐性菌が原因菌となる肺炎では治療が難渋することがあります。また近年増加傾向にある肺非結核性抗酸菌症は抗微生物治療では難治であるケースがあります。医療は日進月歩で進んでいますが、感染症が減ることはありません。呼吸器感染症の疾患像は時代の流れとともに変貌してきており、「効果的かつ効率的な治療をどのようにするべきか?」という課題は、永遠の研究テーマになっています。
 私たちは、2010年より名古屋大学とその関連病院で成人肺炎患者を対象とした前向き多施設共同研究(1年弱で1500症例を集積した大規模研究)を行い、その結果は国際的にも高く評価されており(Am J Respir Crit Care Med 2013; Lancet Infect Dis 2015)、国内外のガイドラインにも結果が多く引用され、診療に役立つエビデンスを提供してきました。最近では海外との共同研究も増えてきています。現在のプロジェクト(後述の研究①)である名古屋大学とその関連施設含む14施設で行ったJ-CAPTAIN studyではコロナ禍の1年間で3300例超の症例集積を達成し、国際的にも屈指の症例集積能力を誇る研究チームになっています。現在、私たちは臨床研究だけでなく、呼吸器感染症診療のさらなる治療成績向上を目指して、新規治療ストラテジーの構築に結び付けるための重症・難治性呼吸器感染症における宿主免疫応答をはじめとする病態解析にも力を入れており、学内・学外研究機関と共同での微生物解析にも取り組んでいます。
 また石井教授は、インフルエンザや肺炎球菌などの呼吸器感染症や敗血症のモデルマウスを用いて感染免疫の研究をこれまで遂行してきました。その経験も生かし、当呼吸器感染症グループの研究を推進できればと考えています。

呼吸器感染症_1

現在の主なプロジェクト

【臨床研究】

①入院を要する市中肺炎患者に対する多施設共同前向き臨床観察研究(J-CAPTAIN study)

市中肺炎・院内肺炎を含む全成人肺炎症例を対象とした臨床観察研究(名古屋大学医学部附属病院)

【基礎研究・トランスレーショナルリサーチ】

③重症・難治性呼吸器感染症の宿主免疫応答解析と新規免疫療法戦略構築に向けた研究
④インフルエンザや肺炎球菌などの動物モデルを用いた病態メカニズムの解明(石井)
⑤COVID-19やCOVID-19罹患後症状に関する基礎的検討(石井)

<対象疾患>

  • 肺炎(COVID-19, Non-COVID-19)

  • 肺非結核性抗酸菌症

  • 術後感染症

私たちのグループの臨床研究(①)では、1年間で3300症例超の臨床データを集積でき、国際的にも屈指の症例集積スピードを誇る感染症研究グループです。短期間で多数のデータを集積できるのは、名古屋大学とその関連病院に強い臨床ネットワークがあるためです。名古屋の「地の利」を生かした臨床研究をベースに基礎研究を組み合わせ、複数の研究者が力を合わせてエビデンスを創出し、社会貢献できるチームになることを目標に研究を進めています。

質問・問い合わせ先

名古屋大学医学部附属病院呼吸器内科
講師:進藤 有一郎
Email: yshindo@med.nagoya-u.ac.jp

主な業績

  1. Kobayashi H†, Shindo Y*, †, Kobayashi D, Sakakibara T, Murakami Y, Yagi M, Matsuura A, Sato K, Matsui K, Emoto R, Yagi T, Saka H, Matsui S, Hasegawa Y. Extended-Spectrum Antibiotics for Community-Acquired Pneumonia with a Low Risk of Drug-Resistant Pathogens. Int J Infect Dis 2022; 124: 124-132.
     

  2. Murakami Y, Shindo Y*, Sano M, Okumura J, Kobayashi H, Sakakibara T, Iguchi M, Takahashi K, Yagi T, Matsui S, Hasegawa Y. Effects of Lymphocyte and Neutrophil Counts and Their Time Courses on Mortality in Patients with Postoperative Pneumonia. Sci Rep 2022; 12: 14564. 
     

  3. Shindo Y*, Fuchs AG, Davis CG, Eitas T, Unsinger J, Burnham CA, Green JM., Morre M, Bochicchio GV, and Hotchkiss RS. Interleukin 7 immunotherapy improves host immunity and survival in a two-hit model of Pseudomonas aeruginosa pneumonia. J Leukoc Biol 2017; 101: 543-554. 
     

  4. Shindo Y*, Ito R, Kobayashi D, Ando M, Ichikawa M, Goto Y, Fukui Y, Iwaki M, Okumura J, Yamaguchi I, Yagi T, Tanikawa Y, Sugino Y, Shindoh J, Ogasawara T, Nomura F, Saka H, Yamamoto M, Taniguchi H, Suzuki R, Saito H, Kawamura T, and Hasegawa Y, on behalf of the Central Japan Lung Study Group. Risk factors for 30-day mortality in patients with pneumonia who receive appropriate initial antibiotics: an observational cohort study. Lancet Infect Dis 2015; 15: 1055-1065. 
     

  5. Shindo Y*, Ito R, Kobayashi D, Ando M, Ichikawa M, Shiraki A, Goto Y, Fukui Y, Iwaki M, Okumura J, Yamaguchi I, Yagi T, Tanikawa Y, Sugino Y, Shindoh J, Ogasawara T, Nomura F, Saka H, Yamamoto M, Taniguchi H, Suzuki R, Saito H, Kawamura T, and Hasegawa Y, on behalf of the Central Japan Lung Study Group. Risk Factors for Drug-Resistant Pathogens in Community-Acquired and Healthcare-Associated Pneumonia. Am J Respir Crit Care Med 2013; 188: 985-995. 

チームリーダーから一言

進藤 有一郎 講師

進藤 有一郎 講師

私たちの呼吸器感染症研究グループは、臨床研究、宿主免疫応答に関連した患者検体を利用した研究、微生物に関する研究(他研究期間との共同研究)と、多面的に研究を進めています。世界のトップ研究者との繋がりもあるので、留学希望がある方に対する積極的な支援も可能です。ぜひ私たちと一緒に未来の診療を築くためのエビデンス創りをしてみませんか? 皆さんを待っています!

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