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RESEARCH

気管支鏡検査に関する臨床研究

研究内容

当院では肺癌をはじめとする悪性腫瘍、サルコイドーシス、間質性肺炎、感染症などを対象に年間350〜400件程度の気管支鏡検査を主に火曜日と木曜日に施行しています。検査に入るスタッフと前日に呼吸器内視鏡予習を行い、想定する疾患や病変の画像特徴量に応じた至適デバイスの選択、手技上のポイント・注意点等を情報共有できるようにしております。診断的気管支鏡検査においては、自家製ROSE(迅速細胞診)を併用し、診断精度を高めるとともに、迅速細胞診の結果に応じて、サンプリング方法の工夫等を導入し、末梢小型病変の低い診断率を克服する取り組みも行っており、高い診断精度と安全な気管支検査の遂行に努めております。また、気管支鏡を用いた治療に関して、低肺機能等で全身麻酔が困難な難治性気胸に対するEWS(Endobronchial Watanabe Spigot)を用いた気管支充填術、呼吸器外科と連携し微小肺病変に対する外科的診断・治療に際して行われる術前CTガイド下マーキングに代わる方法として着目されているVAL-mappingの施行、肺癌に対する動体追跡放射線治療に欠かせないゴールドマーカーの留置等も行っております。

ミダゾラムを用いた鎮静

当院では苦痛緩和のために基本的に全例ミダゾラムを用いた鎮静下に気管支鏡検査を行っています。年齢、性別、体重などに応じた容量設定をして投与しています。当院で行われた前向き観察研究において、本法による高い安全性と有用性を示しています。

EBUS—TBNA(endobronchial ultrasound-guided transbronchial needle aspiration)

肺門縦隔のリンパ節を主な対象としてエコーガイド下に針生検を行うEBUS—TBNAを2007年に導入し、現在は悪性腫瘍のリンパ節転移やサルコイドーシスの診断などを中心に年間50例程度施行しています。EBUS—TBNAに関する研究としては、サルコイドーシスにおけるリンパ節のエコー所見についての解析や、高齢者におけるEBUS—TBNAの有用性、安全性を検討し報告しています。

Radial EBUS (endobronchial ultrasonography)を用いた末梢肺病変の
診断的気管支鏡検査

末梢肺病変をradial EBUSで描出しガイドシースを留置して生検を行うEBUS—GS(endobronchial ultrasonography with a guide sheath)法を2009年に導入し、現在は末梢肺病変の診断目的に年間150例程度施行しています。本法を用いた末梢小型肺癌の診断に寄与する因子や背景肺として間質性肺炎を有する患者さんへのEBUS-GSの有効性と安全性評価等を報告しております。また、Radial EBUSを用いた末梢肺病変の診断率を気管支鏡検査前の因子のみから予測するモデル(prediction model)の研究も行い、気管支鏡検査を受ける患者さんへ、ご自身が受けられる末梢肺病変の診断率がどれぐらいなのか、具体的にご説明することが可能です。

詳細な説明はこちらのPDFよりご覧いただけます。


これからも日々の臨床と研究を通じて、より苦痛がなく、安全で、精度の高い気管支鏡検査の達成を目指していきたいと考えています。

主な業績

  1. Ito T, Matsumoto Y, Okachi S, Nishida K, Tanaka M, Imabayashi T, Tsuchida T, Hashimoto N. A diagnostic predictive model of bronchoscopy with radial endobronchial ultrasound for peripheral pulmonary lesions. Respiration. 2022 Nov 3;1-9
     

  2. Ogawa T, Imaizumi K, Hashimoto I, et al. Prospective analysis of efficacy and safety of an individualized-midazolam-dosing protocol for sedation during prolonged bronchoscopy. Respir. Investig. 2013:1-7. 
     

  3. Okachi S, Imai N, Imaizumi K, et al. Endobronchial ultrasound transbronchial needle aspiration in older people. Geriatr. Gerontol. Int. 2013;13(4):986-92.

チームリーダーから一言

伊藤 貴康 病院助教

伊藤 貴康 病院助教

名古屋大学の気管支鏡診療は、年々進化しています。2023年3月から超音波装置が使用可能な極細径気管支鏡の導入、2023年8月からクライオ生検が導入されました。名古屋大学は呼吸器外科の先生方との連携もしっかりとれており、電磁波ナビゲーションシステムも数例今までに経験しております。末梢肺病変や腫大リンパ節に対する検体採取の際、自家製迅速細胞診を併用し、自分が採取された検体を病理学的にも検討し、気管支鏡のプロを目指して日々精進しております。是非名古屋大学で一人でも多くの先生方と一緒に気管支鏡診療を行えることを切に願っております。

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